201103
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(17)11-03 自転車通学をしている娘がいます。いつも考えるのは無事に帰ってきてくれるだけでいい。それだけを考えています。 現在、私はトラックを運転する運送業に従事しています。運送業に従事する前は交通安全の事などあまり気にしていませんでした。子供の通学の心配より学校でいじめがないかしっかりと勉強をしているか、それだけしか考えていませんでしたが、今では交通事故や安全運転に対する気持ちが非常に高くなり、子供の勉強よりも無事に通学し無事に帰宅することが一番の願いになっています。 以前トラックを運転し帰宅途中の子供たちを見かけたときのことでした。十分に速度を落とし、間隔をあけて左右のミラーやカメラに注意しながらいつでも止まれる速度で走行していたところ、子供たちの列の数名が何時の間にか車両のすぐそばを走り追いかけてきました。なかには、手に持った木の棒で車両をたたいたり触ったりしてきました。 「うわっ! 危ない!」と、ハッとしながら車を止め子供たちに注意しました。 「見えてたから止まったけどな、見えてなかったら大ごとになるぞ! タイヤに挟まれたらグチャグチャになるぞ!」と叱り、驚いた子供たちを集めて更に付け加えます。 「もしも、お前たちに何か起これば、父ちゃんや母ちゃんが泣くぞ! そして俺も事故を起こしたら家族が泣くんや、たくさんの人が悲しむからな。それだけは忘れんでくれよ」と約束して子供たちと別れたことがありました。 他人から見れば「大人げない」と思われるかもしれませんが、あの子供たちが車は危険で、道路は遊び場じゃないと認識してくれれば不幸な出来事、不幸な家族、不幸なドライバーを作らずにすむことが出来ます。 私たち大人が子供たちに「走行している車両は非常に危険である」こと、運転手はいつでも子供たちに気がついているとは限らないこと。もしも事故が起これば、被害者、加害者、双方の家族の人生を狂わせてしまうこと。 このことを大人が家庭の中や教育の場で強く真剣に教えていくことが子供たちを交通事故から守るために出来ることと思います。今日も娘が自転車で通学します。「事故にあわんようにしろよ!」と声をかけます。「父さんも事故をおこさんでね」と返ってきます。これで無事に一日が終わる気がします。 子供たちを事故から守るために出来ること佐賀県唐津市岡本 勉(運送業)おか もとつとむ※ この作文は、内閣府が発行した「我が家の交通安全」~平成22年度 交通安全ファミリー作文コンクール優秀作品集~ から転載させて頂きました。平成22年度 交通安全ファミリー作文コンクール優秀作品集より平成22年度 交通安全ファミリー作文コンクール優秀作品集より
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