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(17)17-6「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施について「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の実施について厚生労働省「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」実施要綱1 趣 旨熱中症については、第12次労働災害防止計画(以下「12次防」という。)において、重点とする健康確保・職業性疾病対策の一つとしてあげられており、平成20年から24年までの5年間と比較して、平成25年から平成29年までの5年間の職場での熱中症による体業4日以上の死傷者の数(各期間中(5年間)の合計値)を20%以上減少させる、との目標が設定されている。これまで、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」に基づく対策をはじめとして、毎年、重点事項を示して、その予防対策に取り組んできたところであるが、12次防期間中の発生件数は平成29年1月現在の速報値で、平成20年から24年までの5年間の発生件数の95%に達し、あと1年を残して、12次防期間中の目標件数を上回り、また、80名を超える労働者が死亡している状況にある。 このため、熱中症による死亡災害ゼロを目指し、12次防の最終年となる平成29年の下記期間において、事業場における責任体制の確立を含めた熱中症予防対策の徹底を図ることを目的とし、本キャンペーンを展開することにより、重点的な取組を推進し、今後の効果的な対策の推進の端緒とする。2 期 間平成29年5月1日から9月30日までとする。なお、4月を準備期間とし、政府全体の取組である熱中症予防強化月間の7月を重点取組期間とする。STOP!熱中症 クールワークキャンペーン 主唱:厚生労働省、労働災害防止団体等 近年、職場での熱中症が原因で亡くなられた方々が多数います。 屋外だけでなく、室内でも発症するケースが多く、年々増加傾向にあります。 熱中症は、適切な予防をすれば防ぐことができます。以下に注意して熱中症 による健康被害を防ぎましょう。 熱中症とは 熱中症は、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調整機能がうまく働かないことにより、体内に熱がたまり、筋肉痛や大量の発汗、さらには吐き気や倦怠感などの症状が現れ、重症になると意識障害などが起こります。(下図参照) 気温が高い、湿度が高いなどの環境条件と、体調が良くない、暑さに体が慣れていないなどの個人の体調による影響とが組み合わされることにより、熱中症の発生が高まります。 また、屋外で活動しているときだけでなく、就寝中など室内で熱中症を発症し、救急搬送されたり、不幸にも亡くなられたりする事もある恐ろしい疾患です。 図 【熱中症の症状と分類】 分類 症状 重症度 Ⅰ度 めまい・失神:「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不十分になったことを示し、“熱失神”と呼ぶこともあります。 筋肉痛・筋肉の硬直:筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。発汗に伴う塩分(ナトリウム等)の欠乏により生じます。これを“熱けいれん”と呼ぶこともあります。 大量の発汗 小 大 Ⅱ度 頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感:体がぐったりする、力が入らないなどがあり、従来から“熱疲労”といわれていた状態です。 Ⅲ度 意識障害・痙攣・手足の運動障害:呼びかけや刺激への反応がおかしい、体がガクガクと引きつけがある、真直ぐに走れない・歩けないなど。 高体温:体に触ると熱いという感触があります。従来から“熱射病”や“重度の日射病”と言われていたものがこれに相当します。 作業に関して次の対策をとりましょう ① 作業の状況などに応じて、「作業の休止時間・休憩時間の確保と、高温多湿作業場所での連続作業時間の短縮」、「身体作業強度(代謝率レベル)が高い作業を避けること」、「作業場所の変更」に努める。 ② 熱に慣れ、その環境に適応する期間(熱順化期間)を計画的に設ける。 ③ 自覚症状の有無に関わらず、作業の前後、作業中の定期的な水・塩分の摂取を指導する。 摂取を確認する表の作成、作業中の巡視における確認などにより、その摂取の徹底を図る。 ④ 熱を吸収する服装、保熱しやすい服装は避け、クールジャケットなどの、透湿性・通気性の良い服装を着用させる。 ⑤ 高温多湿作業場所の作業中は、巡視を頻繁に行い、作業者が定期的に水分・塩分を摂取しているかどうか、作業者の健康状態に異常がないかを確認する。なお、熱中症を疑わせる兆候が表れた場合においては、速やかに、作業の中断などの必要な措置を講じる。 か:風通しをよくする き:休憩をとる く:クーラーを使う け:健康管理は日頃から こ:こまめに水分補給 健康に関して次のことに注意しましょう ① 熱中症発症に影響のある糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全等の場合(有所見、治療中)は就業場所について医師と相談する。また、労働者にも熱中症に注意が必要なことを教える。 ② 睡眠不足、体調不良、前日等の飲酒、朝食の未摂取等が熱中症発症に影響があります。日常の健康管理に注意する。 ③ 作業開始前、作業中の巡視により労働者の健康状態を確認する。 熱中症の教育の実施と救急処置 ① 熱中症の予防に必要な対策について、作業管理者、労働者に必要な教育を行う。 ② 救急処置については、緊急連絡網の作成、周知を行うとともに、裏面の熱中症を疑わせる症状が現れた場合は必要に応じて救急隊の要請等を行う。その間、涼しい環境への避難や脱衣・冷却なども必要です。次の場合は救急隊要請や医療機関への搬送が必要です。 ・ 意識がなく、呼びかけに応じない、返事がおかしい、全身が痛いなどの場合 ・ 意識があるが水分を自力で摂取できない場合 ・ 意識があり、水分を自力で摂取できるが熱中症の症状が回復しない場合 暑さ指数を把握し、基準値を超えている場合はその低減を図りましょう 暑さ指数は、正式にはWBGT(湿球黒球温度)値と言われ、湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されますが、その値は気温とは異なります。値は、乾球温度、湿球温度、黒球温度をもとに算出します※。 高温多湿の場所での作業では、測定器や乾球・湿球温度計などで暑さ指数を把握し、基準値を超えるおそれのある場合は冷房等により作業場所の暑さ指数を下げることや、休憩場所の整備を図るなどの対策を講じましょう。 ※ 暑さ指数は、環境省熱中症予防情報サイトから、現況と予測を知ることができます。http://www.wbgt.env.go.jp/ 熱中症で注意すること ● 暑さの感じ方は人によって異なります! 体調や暑さに対する慣れなどが影響して、暑さに対する抵抗力(感受性)は個人によって異なります。自分の体調の変化に気をつけ、暑さの抵抗力に合わせて、万全の予防を心がけましょう。 ● 高齢の方は特に注意が必要です! 熱中症患者の多くは高齢者(65歳以上)です。高齢者は暑さや水分不足に 対する感覚機能が低下しており、暑さに対する体の調節機能も低下しています。 のどの渇きを感じていなくてもこまめに水分を補給し、暑さを感じなくても扇風機やエアコンを使って温度調整をするように心がけましょう。 ● まわりが協力して、熱中症予防を呼びかけ合うことが大切です! 一人ひとりが周囲の人に気を配り、熱中症の予防を呼びかけ合うことで、発生を防ぐことができます。 陸上貨物運送事業労働災害防止協会

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